ジャニーズ事務所の会見をめぐり、新たな事実がわかった。
一部の記者を指名しないようにする「NGリスト」が存在していたことが明らかになった。
アークタイムズ・尾形聡彦編集長「NGリストは明らかに許されないですよね。ここまで露骨にやっていたということは、ちょっと驚き」
会見に出席したネットメディア「アークタイムズ」の尾形聡彦編集長が入手したNGリスト。
中央には会見場の見取り図、そして、右側には「NG記者」と記載されていた。
変換ミスだろうか、「指名NG記者」が「氏名NG記者」と表記され、モザイクがかけられた6人の顔写真が並んでいる。
2日の会見が始まる前の映像を確認すると、複数の写真が掲載された「NGリスト」と同じものとみられる資料を持ち込んでいた。
会見はどのように進行されたのか、「イット!」が検証した。
会見は、ジャニーズ事務所から委託されたコンサルティング会社が取り仕切る形で行われた。
およそ2時間と決められ、質疑応答が始まったのは開始から36分後だった。その冒頭…。
司会者「なるべく多くの方からご質問をいただけるように、ご質問は1社1問でお願いします」
会見にはおよそ300人の報道陣が集まり、質疑応答は手を挙げた記者を司会者が指名する形で行われた。
映像を見ると、司会者は何度も手元に目を落とし、何かを確認している。
そして、多くの手が挙がる中、司会者は質問する記者を選んでいく。
司会者「一番前の列の黒いめがねの男性の方からまず」、「こっちから見て…マスクをかけている黒いめがねの白のジャケットの女性」
さらに司会者は、1人ひとりを細かく指名していく。
司会者「右手挙げている髪の長い方。こちら側の方です。ごめんなさい、めがねかけていない方でお願いできますか」、「男性2人手が挙がっていますが、一番後ろの列の黒いジャケットですかね、着ていらっしゃる男性」
しかし、質疑応答が始まってから20分が過ぎると、なかなか指名されない記者がマイクを持たずに質問。
記者「東山さん前回…」
司会者「すみません、1社1問でお願いします。発言が求められていないので、ちょっと静かにお願いします。ほかの方を指名しますので。すみません、お願いします。ご協力ください」
井ノ原快彦氏「ちょっと落ち着いていきましょう。落ち着いていきましょう、皆さん」
やがて、会場から不満の声が上がり始めた。
記者「フェアじゃないでしょ! ちゃんと当ててください!」
司会者「いえフェアです。ちゃんと全体見ていますから」
手を挙げても指名されない記者の不満が爆発した。
記者「ちゃんと順番回して!」
井ノ原快彦氏「ごめんなさい」
記者「さばけよ、司会者が!」
井ノ原快彦氏「みなさんちょっと落ち着いてください」
司会者「では向こうのブロックに行きます」
記者「それでは茶番だと思うんですけど」
司会者「いえ、まったく茶番ではないです」
「茶番だ」という記者の指摘を司会者は声を大にして否定した。
この記者会見に出席していたジャーナリストの鈴木エイト氏。
自身がNGリストに入っていたことを知人から聞いたという。
会見に出席していた・鈴木エイト氏「(NGリストに入っていると)知り合いのスポーツ記者から伺いました。司会者がこちらを認識したうえで、次は自分かな、確実に来るなと思ったにもかかわらず、どこか意図的にスルーされた感があった」
最初から最後まで手を挙げ続けたが、指名されず。
鈴木エイト氏は、前回の会見でジャニーズ事務所の過去の不祥事を取り上げたことから指名されなかったのではと推測した。
会見に出席していた・鈴木エイト氏「前回、比較的追及的な質問した人がほとんど今回当てられなかった。都合の悪い質問者を排除してたんじゃないかというのは、あとになって思いました」
同じく指名されなかったアークタイムズの尾形聡彦編集長も、「NGリストに入っているから当たらなかった」と主張した。
アークタイムズ・尾形聡彦編集長「わたしにはいっこうに当たらない。そういうのを見て、非常におかしいなと思いました。事前の仕込み、八百長みたいなものがあったんだなと。説明責任が一番問われる会見で、厳しい質問に答えないという態度をとったのは言語道断ですし、わたしは本当に残念だなと」
「NGリスト」について、ジャニーズ事務所は強く関与を否定した。
ジャニーズ事務所「今回流出したと言われている資料は、弊社の関係者は誰も作成に関与しておりませんし、指名をしない記者を決める等もまったく行っておりません」
そのうえで、会見の2日前に、会見を委託したコンサルティング会社から示されたメディアのリストにNGと書かれた人がいたことも明かした。
ジャニーズ事務所は「そこ(資料)にNGという文字があったので、井ノ原が『これどういう意味ですか? 絶対当てないとだめですよ』と言いました。その時に会見を委託したコンサルティング会社の方は『では当てるようにします』 と答えました」と事前のやり取りについて説明したが、NGリストの記者が実際に指名されたかはわかっていない。
ジャニーズ事務所「今回流出した資料は、弊社の関係者は誰も関与しておりません。見てもおりません」
NGリストを作成したのは、あくまでコンサルティング会社だと強調した。
これで、ジャニーズ事務所としては一切関与していないことになるのか。
企業の危機管理にくわしい専門家の見解は違う。
桜美林大学・西山守准教授「いくらジャニーズ事務所側が“PR会社が勝手にやったことです”といったところで、ジャニーズ事務所側に責任は及ぶというふうに考えられます。ジャニーズ事務所側の主張として、合意を得ずに行ったというようなことは本来はないものですし、あったとしたら、それはちょっと確認不足すぎるんではないか。ジャニーズ事務所は、情報の管理がかなりあまくなってきているんじゃないか」
さらに、東山紀之社長ら新体制についても…。
桜美林大学・西山守准教授「やはり内部で改善するのは限界があるんではないかということで、社長、副社長、取締役、こういった方々が現状でいいのかと、ダメですと、では変えますっていう話。根本的な解決をしないと世の中も納得しないし、会社自体も変えることができないというふうに考えるべき」
一方、会見を運営したコンサルティング会社は5日午後、NGリストの作成を認めるコメントを発表した。
運営会社・FTIコンサルティング「この資料は、限られた会場使用時間の中で、会見の円滑な運営準備のために弊社が作成し、運営スタッフ間で共有したもので、ジャニーズ事務所様は作成や運営スタッフへの共有を含め、一切関与しておりません」
NGリストの存在で新たに波紋が広がるジャニーズ事務所。
2日の会見では、最後にこんなやり取りがあった。
記者「記者会見の予定は今後ないのでしょうか!?あらためて記者会見をする予定はありますか?」
ジャニーズ事務所・東山紀之社長「ご報告できることがありましたら、またこのような形で皆さんと対話させていただき、まだまだ決まってないことも多いので、決まり次第、皆さまと一緒に会見で表現したいと思っています」
一方、関係者によると、今回の件を受けてジャニーズ事務所があらためて会見を開く予定は現時点ではないという。
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