銃撃事件で亡くなった安倍元総理の四十九日法要が営まれました。
この日に合わせるように公表された50ページを超える報告書。事件後の検証から判明したいくつもの問題点、そして改善点が書かれています。報告書は“後方警戒の不備”を認めたうえで、そうなってしまった理由を詳細に述べています。
当時の警護体制ですが、安倍元総理が演説を行うガードレールの内外に合わせて4人の警護員が配置されていました。外側にいた1人の警護の役割は、安倍元総理の背後を警戒することでした。登壇前をとらえた写真には、ガードレールの外から後方に視線を向けている警護員が確認できます。この体制が変わったのが、安倍元総理の演説が始まる2分前。別の警護員の指示により、外にいる警護員もガードレール内に入りました。指示された警戒方向は、右側の聴衆です。この瞬間に生じた“警護の隙”。報告書では“後方警戒の空白”と表現されています。本来、この状況を把握し、手薄な警戒地点を補完する指示を出すのが、道を挟んだ先にいた指揮官の役目でしたが、臨機に応じた対策は取られませんでした。結果、後方から容疑者が近付き、銃口を向けた瞬間、警護を担った全員が、その動きを見逃しました。
警察庁・中村格長官:「身辺警護員等が被疑者の接近を認識しておらず、かつ1発目の発砲音を銃器によるものと即座に認識するに至らなかったことから、防護措置を取るまでに遅れが生じた。すなわち、1発目の発砲の前の段階で、身辺警護員等が『被疑者の接近に』気付いているべきだった。『その必要があった』というのが、まず第一である」
報告書では“警護計画のずさんさ”も指摘しました。事件の2週間前、同じ場所で行われた茂木幹事長の演説。このとき、何も問題が起きなかったことから、安倍元総理の警護計画は、ほぼ前回の丸写しでした。銃器での襲撃に対する備えや県道の交通規制、制服警官の配置など、警備を強化する方法はいくつもあったはずですが、検討すらされなかったそうです。県警幹部クラスの決裁においても、指摘はありませんでした。
警察庁は、『警護要則』を28年ぶりに改正し、26日から運用を始めます。
処分も発表されました。奈良県警の鬼塚友章本部長と警備部長が懲戒処分となり、鬼塚本部長は辞職を願い出て、即日受理されたといいます。警察庁の中村長官も辞意を表明しました。
国家公安委員会・谷公一委員長:「来月には、安倍元総理の国葬儀、また来年5月にはG7サミットが控えるなか、このような事態が二度と起こることのないように、新たな警護要則に基づく措置を確実に講じ、警護に万全を期すよう、警察庁を指導していきたい」
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